政府は5日、外国人の送還や収容のルールを見直す改正入管難民法の完全施行日を6月10日とする政令を閣議決定した。難民認定申請の誤用・悪用を防ぐ制度を導入。不法滞在などで強制退去を命じられた外国人を本国に送還する仕組みが強化され、送還を拒む外国人の長期収容問題解消が期待される。
旧法では難民認定申請中の外国人は一律に送還を停止していたが、改正法では送還が止まる回数を2回に限定。3回目以降の申請者は「相当の理由」が示されない限り送還できるようになる。
令和5年中の難民認定者数は303人にとどまった一方、申請者数は1万3823人と前年の3倍超に急増。難民認定申請の誤用・悪用が多く含まれるとみられていた。
このうち、難民認定を複数回申請しているのは1661人。3回目以上の申請者数は348人で、改正法施行後は相当の理由を示さなければ送還の対象になる。
スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさんが入管施設収容中に死亡した問題を受け、支援者などの「監理人」をつければ強制送還対象者に施設外での生活を認める「監理措置」も始まる。
強制退去処分後、母国送還中の航空機内で暴れるなどして国内に残る外国人らに退去を命じ、従わなければ1年以下の懲役か20万円以下の罰金を科す仕組みも導入する。