(ブルームバーグ): 米エヌビディアの株式時価総額が5日、初めて3兆ドル(約468兆円)を超えた。すでに世界で最も価値のある半導体企業だったが、ここにきてコンピューター・チップ企業として史上初めて時価総額3兆ドル台に達した。
人工知能(AI)タスクに使用される同社製チップの需要急増を追い風に、株価は今年、約147%上昇し、時価総額は約1兆8000億ドル増加した。5日終値は前日比5.2%高の上場来高値1224.40ドル。時価総額は3兆ドルを超え、アップルを抜いた。
エヌビディアが時価総額でアップルを上回るのは、スマートフォン「iPhone」の初号機発売5年前の2002年以来。当時、両社の時価総額はいずれも100億ドル未満だった。
エヌビディアの勢いに鈍化の兆しは見えず、ライバルの追い上げを許していない。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はAIアクセラレーターを毎年アップグレードする計画を明らかにしている。
フアンCEOは、生成AIの台頭を新たな産業革命だとみており、この技術がパソコンにシフトする際にエヌビディアが大きな役割を果たすと期待していると、台湾大学での講演で述べている。
CFRAリサーチのシニア株式アナリスト、アンジェロ・ジーノ氏は、「この大変革はまだ極めて初期の段階にあると見ている」とコメント。フアンCEOの講演後にジーノ氏は、「見通しが改善した。GPUとCPU、ネットワークの面で勢いが増し、コンセンサス予想の上振れが期待できる」と述べた。
時間の問題
エヌビディアは、大規模なAI投資の潮流で最大の受益者であることはほぼ間違いなく、世界で最も価値のある企業の座を競う位置へと躍進。時価総額ではまだマイクロソフトに後れを取っているものの、株価が高騰していることから、ウォール街では同社を追い抜くのは時間の問題だと受け止められている。
1年余りにわたってエヌビディアは、業績と株価で予想を上回り続けてきた。2日には、AIチップ開発競争で首位の座を維持するため新製品の計画を発表。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストは3日、目標株価を再び引き上げ、ウォール街全体の最高値である1500ドルとした。株価プレミアムは成長見通しによって正当化されるという。…..