「無縁遺体」5年間で3割増、独り暮らし増加や親類の引き取り拒否広がり…読売調査

(写真:読売新聞)

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読売新聞オンライン

 死後に引き取り手がない「無縁遺体」の取り扱い人数について、読売新聞が政令市と道府県庁所在市、東京23区の計74市区にアンケートを実施したところ、計69市区で2022年度までの5年間に3割増加していたことがわかった。国内死者数の増加率を上回るペースで、背景には独居高齢者の増加や親類の引き取り拒否が広がっていることがある。厚生労働省は近く、実態調査に着手する。

 孤独死で身元がわからない、または身元がはっきりしていても引き取り手がない「無縁遺体」は、死亡地の市区町村が、墓地埋葬法や行旅法、生活保護法に基づき、火葬・埋葬する。

 読売新聞は今年2~5月、政令市など主要自治体74市区に対し、22年度まで5年間の無縁遺体の年度別取り扱い人数を尋ねた。把握していた69市区の回答を集計すると、18年度の計8800人から右肩上がりに増え続け、22年度は計1万1602人に達し、18年度比で32%増えていた。

 22年度の取り扱い人数が最も多かったのは横浜市の1659人で、18年度比33%増だった。東京23区では江東区が最多の501人で、同31%増。増加率が目立って高かったのは、名古屋市の80%、札幌市の65%、千葉市の46%だった。

 大阪市は年度別人数を集計していないが、公営墓地に合祀(ごうし)した身寄りのない遺骨は22年度に3149人分あり、18年度比で3割増えていた。和歌山市は無回答。前橋、津、岐阜の3市は18年度の記録がなかった。

 厚労省の人口動態統計によると、22年の死者数は156万9050人で、18年の136万2470人から15%増加している。各地の無縁遺体の取り扱い人数はそれを上回るペースで増えていることになる。増加の理由については、「独居の高齢者世帯が増え、社会や家族の在り方が多様化している」(京都市)、「親族に連絡がついても遺体や遺骨の引き取りを拒否される」(東京都中央区)を挙げる自治体が多かった。

 総務省が昨年3月に公表した調査結果では、全国の自治体が18年4月~21年10月に取り扱った無縁遺体は計約10万6000件に上る。ただ、この調査では自治体別や年度別の取り扱い人数を公表しておらず、地域の実態は正確に把握できていなかった。厚労省は近く、無縁遺体の取り扱いを巡る課題を把握するため、自治体や専門家へのヒアリングなどを行う実態調査を始める。

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