NISA非課税確定w「金融所得で社会保険料増」政府検討に波紋…投資促進と逆行懸念「反発避けられない」

読売新聞オンライン

 政府・自民党は医療・介護保険の保険料算定に株の配当などの金融所得を反映させるため、検討を本格化させている。新たな負担増や、岸田首相が投資促進を掲げていることとの整合性を懸念する声があり、調整は難航する可能性もある。

 「NISA(少額投資非課税制度)口座内の所得を対象とすることは考えていない」

 厚生労働省幹部は14日の参院財政金融委員会で金融所得の反映を巡り、こう説明した。

 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文氏が「風説では、NISAから社会保険料が取れると言われている」と質問したことに答弁したものだ。

 社会保険料への金融所得の反映は、政府が昨年12月に閣議決定した「社会保障の改革工程」で「2028年度までに実施について検討する」ことが明記された。

 現在の国民健康保険や後期高齢者医療制度では、株式の配当などを確定申告すれば、金融所得を含めた所得を基に保険料が算定され、金融所得が増えれば保険料負担も増える。一方、確定申告をせずに源泉徴収のみの場合は保険料の算定に反映されず、同じ所得でも保険料に差が生じている。

 金融所得の反映には、こうした不公平感を解消し、支払い能力に応じた負担を実現する狙いがある。自民党では4月下旬から、加藤勝信・前厚労相を座長とするプロジェクトチームで議論が始まった。

 ただ、制度を見直せば、保険料が上がったり、診療時などの自己負担割合が変わったりするケースが出てきかねない。自民中堅議員は「政府が投資で所得を増やすように勧めているのに、それで保険料が増えるとなれば反発は避けられない」と不安を漏らした。

 柳ヶ瀬氏も参院財金委で、首相がNISAを推進し、「貯蓄から投資」を訴えていることを踏まえ、「国が推しているものには裏がありそうで、大丈夫なのかという話になっている」と指摘した。鈴木財務相は「NISAの活用を通じ、安心して資産形成に取り組める環境を整備することが重要だ」と述べ、NISA推進と社会保険料への金融所得の反映は連動したものではないとの立場を強調した。

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