5年前、神戸市の小学校教諭4人が同僚に激辛カレーを食べさせるなどした集団いじめ問題に対応した神戸市教育委員会の職員が自殺したのは、市教委が安全配慮義務を怠ったことが原因だとして、職員の遺族が損害賠償を求めていた裁判で、神戸地裁は16日、市に約1億2000万円の賠償を命じました。
この問題は、2018年から2019年にかけ、神戸市立小学校の男女4人の教諭(当時30~40代)が後輩の男性教諭(当時20代)に対し、暴言や暴行などのいじめや性的なメッセージを同僚の女性教諭へ送るよう強要したほか、羽交い絞めにされて激辛のカレーを食べさられるなどのいじめ行為が発覚したものです。
判決によりますと、30代の男性職員は当時、市教委の総務部総務課の係長で、教育委員との連絡調整役を担っていましたが、問題への対応により長時間勤務が常態化し、2020年2月には睡眠薬を服用しないと眠れなくなるような状態になった末に自殺しました。
男性の遺族は「安全配慮義務を怠った」として、神戸市に対し損害賠償を求めて、民事裁判を起こしていました。
裁判で市側は自殺の予見可能性を否定していましたが、神戸地裁は16日、「男性職員の状況を把握していたにも関わらず、産業医への診察を受けさせるなどの安全配慮義務を怠った」として、市に約1億2000万円の支払いを命じました。