水産庁は、2019年に再開した商業捕鯨の対象に、ナガスクジラを追加する方針を固めた。パブリックコメント(意見公募)を経て、6月の水産政策審議会で年間の捕獲頭数の上限(捕獲枠)を提示し、7月に正式決定する見通しだ。対象の鯨が追加されるのは、商業捕鯨の再開後初めて。
現在対象となっている鯨は、国際捕鯨委員会(IWC)が認める調査方法で資源量が十分に確認されているミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラの3種類。同庁がそれぞれ捕獲枠を設定しており、昨年は3種類で計294頭が捕獲された。
新たに対象となるナガスクジラは、世界最大の動物とされるシロナガスクジラに次ぐ大型の鯨。同庁は北太平洋における資源量が豊富であることが調査で確認されたとして、追加することを決めた。6月5日まで意見公募を行う。
同庁によると、鯨肉の消費量はピークの1962年度に23万トンあったが、近年は2000トンにとどまる。政府は今年度予算に51億円を計上し、学校給食での鯨肉利用や、捕鯨業者による販売促進などを支援している。
◆商業捕鯨=商売目的で鯨を捕ること。IWCが鯨の保護を理由に1982年に一時中止(モラトリアム)を決定し、日本は88年に中止した。頭数などを調べる調査捕鯨を実施してきたが、2019年6月30日にIWCを脱退し、同年7月1日から領海と排他的経済水域(EEZ)内で再開した。
引用元:読売新聞オンライン