米空軍が太平洋で初めて極超音速巡航ミサイルの試験を実施したことが分かった。専門家の間では、中国優位との見方も多い兵器分野で米国が依然競争力を保っているとのメッセージを中国に送る狙いがあると受け止められている。
空軍の報道官が声明でCNNに確認したところによると、今月17日、米領グアムのアンダーセン空軍基地を飛び立ったB52爆撃機が「運用可能な極超音速ミサイル」の試作品を発射した。
この極超音速兵器の正式名称は「オールアップラウンドAGM183A空中発射即応兵器(ARRW)」。試験はグアム島の東約2600キロにあるマーシャル諸島クェゼリン環礁のレーガン試験場で実施された。これまでARRWの試験は米本土沖で実施されていた。
ARRWはロケット推進モーターと極超音速滑空体で構成され、滑空体には通常弾頭が搭載される。国防総省の2021年の文書ではARRWについて、「高価値で緊急を要する地上目標を攻撃する想定」だとしている。
極超音速滑空体の飛行スピードはマッハ5を超え、時間内に探知・迎撃するのは難しい。空中で機動して高度を変えることも可能で、現在のミサイル防衛システムをすり抜ける能力を持つ。
米当局者は以前、中国とロシアが極超音速兵器の開発で先行していることを認めていた。
超党派のロビー団体によると、中国は14年から、核弾頭と通常弾頭の両方を搭載可能な極超音速滑空体の試験を行っている。
米空軍の将官は21年、中国が「地球を一周する」極超音速滑空兵器の試験を実施したと発表。ウクライナの政府機関によると、ロシアも今年、ウクライナに対して極超音速巡航ミサイル「ツィルコン」を発射した。
画像:極超音速兵器の訓練に参加する米空軍兵=2月27日、米領グアム・アンダーセン空軍基地/Staff Sgt. Pedro Tenorio/Andersen Air Force Base