米、USスチール買収を阻止 同盟国でも安保懸念、日鉄は提訴も バイデン大統領が正式発表

バイデン米大統領=2024年11月、ワシントン(AFP時事)記事から引用
時事通信

 【ワシントン時事】バイデン米大統領は3日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を中止するよう命じた。

 製造業を支える鉄鋼メーカーが海外企業に買収されれば、安全保障上の懸念が生じると判断。原則として30日以内に買収計画を「完全かつ永久に放棄」する措置を講じるよう求めた。日鉄とUSスチールは、法的措置も辞さない構えだ。

 同盟国の企業による買収を「安保上の懸念」を理由に差し止めるのは極めて異例。日米関係のほか、日本企業の対米投資や進出に悪影響を与えそうだ。

 バイデン氏の判断を受け、日鉄とUSスチールは「失望している。決定はバイデン氏の政治的な思惑のため下されたものであり、法令に明らかに違反している」と批判。「法的権利を守るため、あらゆる措置を講じる」とする声明を発表した。

 バイデン氏は声明で「米国最大の鉄鋼生産者の一つを外国の支配下に置くもので、安保と重要なサプライチェーン(供給網)にリスクをもたらす」と説明。「USスチールは米国人が所有・操業し、鉄鋼労組の労働者が働く世界最高の誇り高い企業であり続ける」と訴えた。

 米政府の省庁横断組織、対米外国投資委員会(CFIUS)が安保の観点から買収計画を審査したが、期限までに結果がまとまらず、昨年12月にバイデン氏に判断を一任していた。バイデン氏はこれまで、USスチールは「国内で所有、運営されるべきだ」との見解を表明していた。 

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買収できないとUSスチールは工場閉鎖?

ブリットCEOは、日本製鉄による買収が競争力や雇用を維持するために重要だという認識を示した上で「この取り引きが成立しなかった場合には、競争力などを維持するための投資はしないだろう。われわれには資金がない」と過去に発言している。

 もし工場を閉鎖した場合、数千人の雇用と地域経済に影響が出るとされ、今後の動向が注目される。