【ニューヨーク=小林泰裕】米SNS大手X(旧ツイッター)は11月8日から、投稿の閲覧数に基づいて広告収益を利用者に分配する現在の仕組みを改め、投稿への返信や「いいね」の数に応じて収益を分配する方式に変更する。「インプレゾンビ」の減少につながる可能性がある。
9日の発表によれば、今後は投稿への返信や「いいね」、ブックマーク、視聴時間などに応じて収益を分配する。有料会員から得られた会費収入の最大25%が分配の原資になる。また無料会員ではなく、有料会員からの返信や「いいね」などの数が収益分配の判断基準になるとしている。閲覧数稼ぎなどを目的とした問題投稿に対しては、罰則を科す方針だ。
Xは昨年7月、一定の条件を満たした利用者を対象に、閲覧数(インプレッション)に基づいて広告収益を分配する仕組みを開始した。しかしこの仕組みを悪用し、閲覧数稼ぎのために無意味な投稿を繰り返したり、偽情報を拡散しようとする動きが広がった。
こうした利用者は「インプレッションゾンビ(インプレゾンビ)」と呼ばれ、1月の能登半島地震では有益な情報の拡散を阻害したなどとして問題になった。11月8日以降は、閲覧数稼ぎを目的とした投稿は減少するとの見方がある。
米実業家のイーロン・マスク氏による買収後、Xは広告収入が減少して経営が悪化している。収益分配の仕組みを改めることで有料会員を増やし、広告に替わる収益源に育てる狙いもあるとみられる。