太陽光発電20社に交付金停止へ 農地法違反など確認、営農型への行政処分は初

産経新聞

経済産業省が農地に太陽光パネルを設置して発電する「営農型」の太陽光発電事業者20社に対し、農地法違反などを確認したとして交付金を近く一時停止することが2日、分かった。4月に導入した行政処分としては2例目で、営農型への適用は初めて。太陽光パネルの設置を巡り各地でトラブルが相次ぐ中、不正事案に早期の是正を促し、再生可能エネルギー普及の足かせになるのを防ぐ。

■交付金停止で違反解消狙う

経産省は農林水産省との調査で、営農型の太陽光発電事業者20社に計342件の農地法違反など不適切な行為があることを確認した。対象の発電出力は1万7567キロワットで、交付金額は月間約1300万円になる。

再生可能エネルギー特別措置法が4月に改正され、経産省は悪質な事業者に国の固定価格買い取り制度(FIT)などの交付金を停止する処分ができるようになった。

FITは企業などが再エネで発電した電気を火力よりも優遇した価格で買い取るよう電力会社に義務付けた制度。導入期に割高な再エネの発電コストを補うため、事業者が電力会社を通じ交付金を受け取っている。

交付金が止まれば、発電事業の運営が厳しくなる。経産省は行政処分が違反状態の早期解消につながるとみている。

■トラブル続く太陽光発電

営農型の太陽光発電は農地に支柱を立て、上部空間に太陽光パネルを設置して、農業生産と発電を両立する仕組みで、平成25年に農地法に取り扱いが明記された。農地の一時転用許可を受け、パネル設置後も農作物の8割以上の収穫量を確保するなどのルールがある。

国内農業が高齢化や後継者不足などの問題を抱える中、売電で安定した収入が得られる営農型への期待は大きく、許可件数は年々拡大している。

だが、経産省によると「必要な農地転用許可を受けなかったり、農地で生産がほとんどされていなかったりする事例が散見される」(担当者)といい、とくに悪質な事案を今回処分する。

太陽光パネルを巡っては、山の斜面を削るなどの設置方法が防災や景観を乱す観点から批判を浴び、全国でトラブルが続発。経産省は4月2日、林地で無許可開発などをしていた事業者9社に初の交付金停止措置を適用した。

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