阿部一二三 メダル確定あと1勝!妹・詩の分も…負けられない戦いで準決勝進出決めた 鼻血で2度治療も

<パリ五輪 柔道>男子66キロ級、準々決勝を突破する阿部一二三(右)(撮影・平嶋 理子)
<パリ五輪 柔道>男子66キロ級、準々決勝を突破する阿部一二三(右)(撮影・平嶋 理子)
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スポニチアネックス

◇パリ五輪第3日 柔道(2024年7月28日 シャンドマルス・アリーナ)

 男子66キロ級の阿部一二三(26、パーク24)が28日、準々決勝でヌラリ・エモマリ(22=タジキスタン)と対戦。2分41秒、大内刈りで2度目の技ありを奪い、合わせ技一本で準決勝進出を決めた。

 妹の分も――。気迫のこもった表情で畳に上がった一二三は、自身の信じる柔道で準々決勝も突破した。開始43秒で技ありを奪うと、2分すぎには鼻血の治療で試合は一時中断。さらに30秒後に再び治療するなどアクシデントに見舞われたが動じなかった。そして2分41秒、大内刈りで技ありを奪い合わせ技一本。相手のエモマリは投げられた後、右肩の脱臼でしばらく起き上がれなかった。

 妹の悲劇から42分後。会場脇で詩の敗戦を表情を変えず見届けた一二三は、異様なムードが漂う会場で、自身のやるべきことに集中。パリ初戦で強烈なプレッシャーをはねのけた。開始25秒で技ありを奪うと、さらに袖釣込腰でポングラツを豪快に投げ、合わせ技一本勝ち。準々決勝進出を決めると“フウー”と息を吹き出し口を一文字に結んだ。

 東京五輪以後は無敗。22年4月の選抜体重別選手権で復帰し、ライバルの丸山城志郎を破って同年の世界選手権代表に選出された。この大会でも決勝で丸山を破り3度目の制覇を果たす。昨年5月の世界選手権で連覇を達成し、パリ五輪代表に内定。技術面でも足技の決定率が上がるなど、3年前からさらに進化を遂げている。

 海外での五輪は初となる。「東京の時は自国開催でコロナっていう影響で無観客での試合になっていた。今回は観客もたくさん入って全然別世界の五輪なのかな」と見据えた。ブーイングについても言及。これまで世界選手権などで経験しており「練習の中でも、いろんなことを想定してやってきた。ブーイングも力にして、全て力にして頑張りたいなと思う」と語っていた一二三。妹・詩との史上初兄妹同日連覇の夢は破れたが、連覇を達成すると日本柔道通算50個目の金メダルとなる。詩のためにも、節目の金メダルを必ずつかみ取る。

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