北朝鮮が中学生約30人に対する大規模な公開処刑に踏み切った。学生らが対北朝鮮チラシの中のUSBに入った韓国ドラマを見たという理由からだ。
11日、テレビ朝鮮の報道によると、北朝鮮当局は先週、韓国ドラマを見た中学生30人余りを公開処刑した。これに先立ち、脱北団体が先月、北朝鮮への風船を飛ばし、その中に韓国ドラマが保存されたUSBメモリーを入れたが、これを拾って摘発された学生たちを公開銃殺したのだ。
北朝鮮は先月も、同じ理由で17歳前後の青少年約30人に無期懲役と死刑を言い渡したことがある。対北朝鮮団体が海に送った「コメの入ったペットボトル」を拾ってご飯を炊いて食べた一部の住民にも労働教化刑を下した。
北朝鮮が韓国の文化や食べ物に接したという理由で住民に苛酷な処罰を下した事例は統一部がまとめた「2024北朝鮮人権報告書」の中の脱北者の証言でも確認できる。
それによると、北朝鮮当局は結婚式で韓服ではなく白いドレスを着ること、ワイングラスで酒を飲むこと、サングラスを着用することなどをすべて「反動」事例と見なした。「アパ(パパという意味)」という言葉も、先生を呼ぶ「セム(先生を呼ぶ若者の言葉)」という表現も禁止した。
ある脱北男性は「2022年、黄海南道(ファへナムド)の鉱山で22歳の男性が公開処刑されるのを見た」として「傀儡(韓国)奴らの歌70曲と映画3編を見て逮捕され、尋問過程で7人に流布したという事実が明らかになったそうだ」と伝えた。2020年に脱北したまた別の男性も「同僚が携帯電話で韓国ドラマを視聴していたところ、保衛部に摘発され強制送還されたが、後で処刑されたという便りを聞いた」と耳打ちした。
今年初めには韓国ドラマを視聴したという理由で16歳の少年2人が12年の労働教化刑を宣告される公開裁判映像が公開されたりもした。北朝鮮当局が制作した内部住民向けの思想教育映像だ。これには、韓国ドラマに登場する服装とヘアスタイルを真似した罪で摘発された平壌(ピョンヤン)の女性たちの姿も登場する。
こうした北朝鮮当局の強力な制裁は2020年12月に制定した「反動思想文化排撃法」に基づくものだ。同法は、韓国の映像物流布者を死刑に処し、視聴者は最大懲役15年の刑を受けることができるよう規定している。図書・歌・写真も処罰対象に含まれ、「南朝鮮語調や唱法を使えば2年の労働教化刑(懲役)に処する」という条項もある。