通常国会が閉幕した。今国会は、1月の国会開会前に、自民党安倍派の裏金問題が発覚し、実態解明、議員処分、再発防止の三段階の議論が閉幕まで続き、通常国会を通じて「政治とカネ」問題の議論が続いた。
一方で、国民生活に影響が大きい法案が終盤国会で成立し、世論調査では、政治とカネを含めた政策評価について質問を行った。
子ども子育て支援制度の評価は?
まず、「子ども子育て支援制度」を新設する法律が成立した。公的社会保険料を加入者平均で毎月450円上乗せすることを財源として「子ども子育て支援金」を新設し、児童手当を高校生まで拡充、所得制限の撤廃、妊娠・出産時に10万円相当の給付、「こども誰でも通園制度」など支援制度が拡充される。「子ども子育て支援金制度」について少子化対策としての期待を聞いたところ、「大いに期待」8.5%、「ある程度期待」30.4%、「あまり期待しない」36.9%、「全く期待しない」22.6%となった。
【子ども子育て支援金制度への期待】
大いに期待 8.5%
ある程度期待 30.4%
あまり期待しない 36.9%
全く期待しない 22.6%
出生率をめぐっては、6月に厚労省が、1人の女性が産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」を発表し、過去最低の1.20となったことが大きなニュースとなった。さらに都道府県別の出生率では、東京で0.99と1を割り込んだほか、東京隣接県の、神奈川1.13、千葉1.14、埼玉1.14なったほか、低いところでは、北海道1.06、宮城1.07、秋田1.10、岩手1.16、大阪1.19、京都1.11など地域的に低出生率が深刻化している。
「子ども子育て支援制度」への期待を地域別に見ると、首都圏や北海道など出生率が低い地域での期待が低いことが明らかになった。一方で、同じく出生率が低い東北では、評価が拮抗する形となった。(下記表参照)こうした地域間の評価の濃淡の背景にとして、出産時10万円給付については、出産費用が高い大都市圏では、出産費用が低い地域に比べて恩恵が小さくなることが考えられる。また「保育待機児童」の問題は大都市圏で大きいとされることから、「こども誰でも通園制度」で問題が解決しないとみる傾向が大都市で大きいことなどが考えられる。
また、男女別に見てみると「大いに期待」は男性で9.4%、女性で7.7%、「ある程度期待」男性29.4%、女性31.2%、「あまり期待しない」男性33.5%、女性40.0%、「全く期待しない」男性26.0%、女性19.4%となった。出産育児への男性の参加を進めていく動きの中、「期待する」「期待しない」どちらに置いても、男性で賛否の姿勢が女性に比べて強い傾向が見られた。
「子ども子育て支援金」による給付の充実は、複数のメニューからなるものの、少子化問題の解決は各地域などでの事情が様々なほか、効果が形になるには、一定の年月がかかるため腰を据えた対応の継続が必要となる。
【子ども子育て支援制度への期待 地域別】
期待する 期待しない
北海道 27.5% 72.5%
東北 47.3% 51.7%
北関東 40.1% 58.9%
南関東 34.1% 63.8%
東京都 35.8% 61.8%
北陸信越 31.9% 66.8%
東海 40.7% 57.8%
近畿 39.4% 59.8%
中国 46.9% 50.6%
四国 44.2% 54.0%
九州沖縄 41.5% 55.4%
【子ども子育て支援制度への期待 性別】
大いに期待 やや期待 あまり期待しない 全く期待しない
男性 9.4% 29.4% 33.5% 26.0%
女性 7.7% 31.2% 40.0% 19.4%