4月にJR東日本の社長に就任した喜勢陽一氏(59)が5月31日までに共同通信のインタビューに応じ、早ければ秋にも運賃の値上げを国に申請する方針を表明した。国が夏に公表する基準を踏まえ「値上げの余地があれば最速で申請したい」と強調。現在の複雑な料金体系についても見直しを検討するとした。
国土交通省は4月、鉄道運賃の根拠となる「総括原価」の算定方法を27年ぶりに見直した。これに基づき、国交省は設備の維持や補修にかかる基準コストを7月下旬に公表する予定。喜勢氏は「耐震や安全対策などを行うため、値上げの理由をきちんと説明していく」と述べた。システム改修が必要なため、実際の値上げは2025年度末以降になる見込み。
運賃体系については「国鉄時代から変わっておらず複雑だ。シンプルな運賃体系を目指したい」と述べた。JR東では距離に応じた運賃が幹線と地方交通線で異なり、さらに首都圏といった都市部が安く設定されているため、利用者からは分かりにくいとの声がある。