被災家屋の公費解体、所有者全員の同意がなくても可能に…能登地震の被災4県に国が通知

公費解体が進められている被災家屋(18日、石川県珠洲市で)
読売新聞オンライン

 能登半島地震で被災した家屋について、環境省と法務省は28日、倒壊や焼失などで建物としての機能が失われている場合、所有者全員の同意がなくても市町村の判断で解体・撤去(公費解体)できるとし、関係自治体に通知した。従来よりも踏み込んだ運用を明示し、円滑な手続きで公費解体を加速させる。

 被災家屋の公費解体には原則、所有者全員の同意が必要だ。熊本地震や東日本大震災では、相続などで所有権が複数人にわたり解体を申請できない場合、申請者が責任を持つとの宣誓書で解体できる方式も取られたが、能登半島地震では、トラブルで訴訟になることを懸念し、多くの自治体が採用を見合わせていた。

 通知では、建物の機能が失われた家屋は所有権が消滅するとし、所有者が複数いても1人の申請で公費解体を進められることや、法務局が職権で登記を閉鎖する「滅失登記」が可能なことを明確化。石川、新潟、富山、福井の4県に文書を送った。

 石川県では約2万2000棟の公費解体が想定されているが、26日までに完了したのは346棟にとどまる。馳浩知事は28日、報道陣に「(通知により)訴訟リスクが大幅に減る。公費解体が円滑に進むことを期待している」と話した。

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