手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。5月11日(土)の放送では、水ジャーナリストの橋本淳司(はしもと・じゅんじ)さんに「災害が起きたときの水の備え」について伺いました。
東京都が発表している首都直下地震の被害想定では、上水道の断水率は都心で34.1%、復旧までに約17日かかると想定されており、浄水施設に被害があれば、さらに時間がかかる可能性があります。さらに、住宅内に設置された受水槽や給水管などの設備が被害を受けた場合も、断水が拡大する可能性があります。特に高架水槽を設置しているマンションは、停電によってポンプで水を汲み上げられなくなってしまいます。
私たちは、食事の準備や後片付け、飲み水、お風呂、シャワー、洗濯、トイレなどで、1日に約250リットルの水道水を使用しています。それが17日間、蛇口から水が出てこないことは想像以上の不便さがあります。また、今年1月に発生した能登半島地震のように、断水が何ヵ月も続くことも考えられます。
災害が起きたときの水の確保として、“水の備蓄”だったり、「災害時給水ステーション」や給水車から水をもらうことも考えられますが、ほかにはどういう手段が考えられるのでしょうか?
橋本さんは、能登半島地震の事例を挙げ、「自前の井戸を周囲の人々にも開放している方がいました。元々、酒造や醸造所が多い地域だったということもありますが、その人たちが普段から使っている井戸、あるいは使えなくなっていた井戸をもう一度復旧させて使うということがありました。防災用の井戸が残っている公園もありますから、公園などに行ったときに確認しておくと、いざというときに安心なのではないでしょうか」とコメント。
例えば、東京都・練馬区には“防災井戸”以外にも各学校に学校防災井戸が設置されているほか、“ミニ防災井戸”と呼ばれる深さ約8メートルの手動ポンプ付きの浅井戸が、区内の約500ヵ所に設置されています。そのほか、各自治体のWebサイトには防災井戸の情報が載っています。
さらには、「あとは雨水ですね。“雨水は汚い”というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、実は降り始めて30分くらい経った雨はとてもきれいなので、生活用水としてはとても使いやすい水になります。なので、雨をどうやって溜めるかも重要です」と解説します。
その雨水を溜めるポイントとして、「屋根の雨水を溜めることが一番楽なんですよ。面積が広いところで溜めたほうが、たくさんの雨水が溜められるので、例えば、雨どい(雨水を集めて排水させる筒状の建材)に切り込みを入れて、プラスチックのようなもので雨水を引き寄せるような装置を作ります。そこに、ポリ袋のようなものを入れておくだけで雨水は溜まります」と橋本さん。梅雨の時期にぜひ一度、実践してみるのも良いかもしれません。
災害に備えて、生活用水として必要な1人につき1日約9リットルのお水を、水道水の汲み置きやお風呂の残り湯などで備えましょう。
(TOKYO FM「防災 FRONT LINE」2024年5月11日(土)放送より)